大きな愛を受けながらも感情がわからないユンジェ。
    愛を知らずに生きてきたゴニ。
    対照的な二人の“怪物”の出会いの先に、待つものとは――
    「誰かと繋がっているようで 、誰とも繋がっていない」この時代が生んだ大きな“不安”。
    他人の気持ちを“心から”感じるということは、どういうことなのか。 
    些細なすれ違いや、思い込みが大きな問題に発展し「想像力の欠如」が叫ばれる現代において 
    「本物の共感とは何か?」をまっすぐに問いかける――
    いまあなたは、誰かのことを、本当に「見て」いますか。
    
    韓国で100万部超えを達成し、日本でも 2020年に本屋大賞翻訳部門第1位に輝いた小説「アーモンド」。2022年に初演された舞台版『アーモンド』はコロナ禍により半分以上の公演が中止になりながらも、2022年読売演劇大賞上半期ベスト5演出/振付に選出。
    世代を超えて愛された異色の演劇 『アーモンド』が、今秋シアタートラムに帰ってくる!
    前回公演の感想
    呼吸を忘れてしまう程の迫力。 これからの「人生」どうやって生きていこうか考えずにはいられませんでした。
    身体表現によって立体になっていく小説の世界。読んだ時は遠かった出来事が近くに感じて、動きや表情から必死に感情を読み取ろうとした。私はユンジェであり、ゴニだった。
    どうして観劇していて泣いてしまうのだろうと考えましたが、目を逸らしている自分の中の灰色の感情に真正面から役者の皆様がぶつかられ、そして美しく魅せられることで向き合わされるからなのかなと思いました。
    すぐに変わることはできないとは思いますが、この舞台を観たことで得た火種を大切に生きたいと思います。
    あらすじ
    怪物と呼ばれた少年が、愛によって生まれ変わるまで――
    扁桃体(アーモンド)が人より小さく、怒りや恐怖といった感情をうまく感じることができない十六歳の高校生、ユンジェ。祖母は彼を「かわいい怪物」と呼んだ。
    そんな彼は、十五歳の誕生日に、目の前で祖母と母親が通り魔に襲われ死傷したときも、 ただ黙ってその光景を見つめているだけだった。
    母親は感情がわからない息子に「喜」「怒」「哀」「楽」「愛」「悪」「欲」などの感情を丸暗記させることで、なんとかユンジェを“普通の子”に見えるようにと訓練してきた。
    だが、母は 事件によって植物状態になり、ユンジェはひとりぼっちに。
    そんなとき現れた、もう一人の“怪物”ゴニ。ユンジェとは正反対の激しい感情をもつその少年との出会いは、ユンジェの人生を大きく変えていく――